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漫画「めぞん一刻」を読むと恋愛と女心が学べる
めぞん一刻という漫画が昔から好きです。
高橋留美子さんのヒット作で、1980年代の漫画と少し古いですが今でも根強い人気があると聞きます。
この、めぞん一刻という漫画には恋愛のイロハが詰まっています。
さすがは高橋留美子さんというべきで、女性の心情や恋愛のことを本当によく理解されておられると感じます。
意中の彼女と上手くいかなくて悩んでいる人に是非一度読んでみてほしい作品です。
めぞん一刻のストーリー紹介
めぞん一刻のストーリーを簡単に説明します。
一刻館という古いアパートに浪人生の五代裕作くん(主人公)が引っ越してきます。
一刻館の管理人は若い未亡人の音無響子さん(ヒロイン)という女性で、美人の響子さんに五代くんは一目惚れします。
一刻館には破天荒で個性的な住人がたくさんいて、五代くんと響子さんは住人たちにいつも振り回されます。
響子さんは五代くんの気持ちを嬉しく思いつつも、1年前に亡くした夫である惣一郎さんへの想いから気持ちに応えることができません。
完全に拒否されるわけでもなく、かといって応じてくれるわけでもない、こんな蛇の生殺しのような状態で五代くんは悩み続けます。
そして三鷹さんというライバルまで出現し、三鷹さんは響子さんをストレートに口説き始めます。
三鷹さんは容姿端麗な上にエリートなお金持ちで、さらに女の扱いにも長けており、チャラさと真面目さを併せ持つモテ男でした。
優しいだけで要領の悪い貧乏学生に過ぎない五代くんは当然焦ります。
しかし、響子さんは三鷹さんのアプローチにもなかなか応じようとはせず、かといって突き放すこともせず、五代くんと同じようにはぐらかし続けます。
そんな三角関係のまま数年が経ち、五代くんの就職が決まる頃、今度は三鷹さんが焦り出します。
三鷹さんは自分が五代くんに負けるはずがないと最初は侮ってましたが、響子さんが一向に自分になびかないので、本当は五代くんの方が好きなのではと思い始めます。
そのため、五代くんが社会人になって自分と同じ土俵に上がってくることを脅威に感じ、三鷹さんは響子さんにプロポーズします。
このプロポーズさえも響子さんははぐらかそうとしますが、さすがにもう三鷹さんも引きません。
しかし、不運が重なって三鷹さんは他の女性と結婚することになり、響子さんを巡るレースから脱落します。
長く続いた三角関係は崩壊し、五代くんと響子さんは距離を縮めますが、それでもハッキリした答えは出せません。
このもどかしい関係を終わらせたいとようやく思った響子さんは、五代くんに身体を預ける覚悟を決め、2人は結ばれます。
そして2人は結婚し、一刻館で新たな生活を始めます。
・・とまあ、恋愛要素だけに特化してまとめるとこんな感じです。
シリアスな最後を除けば、お笑い要素が中心のコメディ漫画です。
響子さんが三鷹さんではなく五代くんを選んだ理由
五代くんは少年少女漫画の典型的主人公タイプの男性です。
優しいがどこか頼りない、優柔不断で気持ちをストレートに伝えられない、鈍感で空気が読めない、でもやる時はやる。
一方の三鷹さんは、頼りがいも決断力もあって押しも強く、女性の気持ちにも敏感で、でもどこか冷たいところもある。
三鷹さんは少年少女漫画でいう典型的悪役タイプの男性です。
ハッキリ言って、現実において女性にモテるのは三鷹さんの方です。
10人の女性のうち8人は三鷹さんを選ぶでしょう。
現実は漫画ほど甘くないですから。
それなのに、なぜ響子さんは五代くんを選んだのか?
「漫画だから」
・・は言いっこなしで、これは現実でも起こることです。
答えは、
「響子さんは五代くんのような男の方がタイプだから」
「そのまんまじゃねーか!」
・・と思うかもしれませんが、これは真面目に言ってます。
響子さんは、三鷹さんのような男はあまり好きではなく、五代くんのような男が好きなんです。
女性の好みは様々なんです。
10人の女性のうち8人は三鷹さんを好むでしょうが、響子さんはその他2人に入っている例外なんです。
それを最も証明しているのが、響子さんの亡き夫である惣一郎さんです。
響子さんと惣一郎の馴れ初めとして、響子さんの方から惣一郎さんへ一方的にアプローチしているという事実があります。
その惣一郎さんはというと、地味で大人しくて穏やか、でも頼りない・・そういう男性でした。
つまり、惣一郎さんは五代くんと似てるんです。
惣一郎さんを好きになる響子さんは、惣一郎さんと似たタイプの五代くんを好きになる可能性が高いんです。
現実では、三鷹さんのような押しの強い男に惹かれる女性の方が圧倒的に多いのが事実です。
しかし、全員がそうじゃありません。
穏やかで安心できてツッコミ甲斐があるくらいの男の方が好きって女性もいるんです。
まとめると、
「五代くんは運が良かった」
男からモテる音無響子さんは魔性の女?
2人の男から長年想われ続けるだけあって、作品の中でも響子さんはとても魅力的な女性として描かれています。
美人なのはもちろんのこと、ちょっとした仕草や振る舞い、そして嫉妬で拗ねてるところなんかもすごく可愛く描かれてます。
作者である高橋留美子さんの手腕には本当に舌を巻きます。
そんなモテモテの響子さんですが、ある意味では男を狂わせる魔性の女の一面もあります。
魔性の女検証その1「生かさず殺さずの思わせぶりな態度」
響子さんは五代くんと三鷹さんから何度もアプローチされますが、決して素直に応じることはしません。
適当にごまかすというよりは、困ったような嬉しいような微妙な表情と態度を見せて、イエスもノーも言わないのです。
そのうち相手が根負けして、「すみません、勇み足でした」とか「じゃあ今度にしましょう」と言ってしまい、うやむやになるパターンです。
かといって完全に興味がないわけではなく、五代くんや三鷹さんが他の女性と親しくしていると明らかに不機嫌な態度を見せるんです。
この見せ方が非常にいやらしく(上手く)、「嫉妬してますよ」という気持ちが伝わるように見せるんです。
その態度を見て、五代くんと三鷹さんは希望を持つわけです、「俺にもまだ脈はある」と。
と思ってアプローチしたらまたかわされる・・この繰り返しです。
まさに生かさず殺さず、蛇の生殺しです。
魔性の女検証その2「意外にしたたかで打算的」
三鷹さんのような好条件の男を袖にし続ける割には、響子さんはなかなかに計算高い一面も持っています。
響子さんは20歳くらいで未亡人になっている上に子供もいないので、当然ながら恋愛や結婚をまたしたいと思っているわけです。
そこで五代くんと三鷹さんが迫ってきて、「私もまだまだイケるようだから焦ることはないな」と焦らし続けるわけです。
三鷹さんの両親と会う時にはこんなことも言ってます。
「もうすぐ27歳になるし、30歳までには子供は産んどいた方がいいかな」
「五代くんはまだ学生だしなあ、三鷹さんなら今すぐでもOKか」
・・モロ計算してます。
かわいそうなのは三鷹さんで、響子さんは三鷹さんと結婚する気はほぼないような感じに見えるんですよね。
それなのに三鷹さんの両親に一応会っておいたのは、五代くんが無事就職できなかった場合の保険のつもりだったはずです。
気持ちとして好きなのは五代くんなので、五代くんの就職活動にはすごく口を出してます。
そもそも、長年に亘って2人をキープし続けていたのは、五代くんが一人前になるのを待っていたとも解釈できます。
三鷹さんは常に保険の存在としてキープされていたようなものです。
三鷹さんが不憫でなりません。
魔性の女検証その3「ハッキリしない男を自分から誘った」
三鷹さんが脱落し、五代くんの就職が無事決まり、いよいよ五代くんとゴールインか?
・・のはずが、相変わらず五代くんはハッキリしません。
業を煮やした響子さんはとうとう自分から動き始めます。
無理もありません、なんだかんだ言って響子さんは夫を亡くして以来ずっと1人だったんですから。
そして、一気に深い関係になろうとします。
それまでがコメディタッチだっただけに、この展開には正直驚きました。
2人は結ばれ、ようやく揺るぎない既成事実が出来上がります。
そこで響子さんはこう言います。
「私ずっと五代さんのことが好きだったの」
・・これは計算的だなあと思いました。
肉体関係を結んだ五代くんがもう拒否できないことを響子さんは知っているからです。
「背中は押してあげたんだから、さあ前へ進みなさい」というわけです。
響子さんは常に自分の思い通りに事を運びたい女性で、五代くんは手の平で踊らされていたに過ぎません。
めぞん一刻の中で最もシリアスで感動的な場面ですが、実際には響子さんのシナリオ通りだったという見方ができるわけです。
検証結果「音無響子さんは魅力的な普通の女性」
このように、響子さんは魔性の女のような言動を数多くしてきました。
でも私は断言します。
響子さんは魔性の女でもなければ悪女でもありません。
響子さんはとても魅力的な普通の女性です。
確かに響子さんは、五代くんや三鷹さんからのアプローチに対して常に優柔不断な態度を取り続けました。
しかし、女性とは本来そういう生き物なんです。
自分で決めたくないんです、だから男に決めてほしいんです。
五代くんは響子さんに好意を示すだけで、響子さんを守る力もなければハッキリとした告白もありませんでした。
三鷹さんは強引に押してましたが、他の女性とも怪しかったり、何より響子さんが好むような行動や言動をしていませんでした。
こんな2人だから、響子さんはどちらか一方に決めることができなかったんです。
でも好意を示してくれることは嬉しいから失いたくはない、だから突き放しはしない・・これって普通のことですよね。
保険にされていた三鷹さんには同情しますが、彼にも非はあります。
響子さんは最後の最後まで三鷹さんに心を開いている描写はありませんでした。
そんな状態でいくら押そうが効き目なしです。
三鷹さんはまず、響子さんに自分への親しみを持ってもらうべきだったんです。
にもかかわらず、三鷹さんはただ押すだけ・・バカの一つ覚えです。
女慣れしているならもう少し知恵を働かせるべきでした。
そして、もっと早く諦めるべきでした。
最後に五代くんを自分から誘ったのもいじらしい行為です。
普通は男性から誘うべきです。
女性からベッドに誘うなんてことは本来あってはならないことです。
でもこのままじゃ進展しないからと自分から誘った響子さんはとても勇気があります。
反面、五代くんは情けないし、男らしくない。
響子さんは頼りない男に代わって、自分が悪者になろうとしてくれたに過ぎないのです。
めぞん一刻から学べること「女は面倒くさい生き物」
高橋留美子さんは、めぞん一刻の音無響子さんというキャラクターから、
「女性とはこういう生き物なんですよ」
というメッセージを送っているように私は感じます。
実際にめぞん一刻を読んだ男性のほとんどが音無響子さんという女性を魅力的だと感じるはずです。
それが答えです。
「ただ幸せになりたいだけなんですよ」
「だから自分を幸せにしてくれる男かどうか試すような事をするんですよ」
こういうことだと思うんですよね。
本来、女は面倒くさい生き物なんだと思います。
男性ならこれを「卑怯」と思うのではなく「可愛らしい」と思うようにしてほしいんです。
そういう男性だけが本当の意味で女性にモテますから。
それから、念願叶って響子さんと結ばれた五代くんですが・・見習わないようにしてください。
現実では五代くんのような男はモテません、絶対に。
響子さんのようなタイプからは需要がありますが、それはごく希です。
ほとんどの女性は五代くんを受け入れません。
五代くんが最終勝利者になった部分だけは・・漫画です。
もし興味のある方は是非読んでみてください。
恋愛や女心を学ぶ以前に、普通にハマれるくらいおもしろい漫画ですから。
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